ポイント> OCR/AI-OCRとペーパレス化
簡単に言いますと、紙書類をパソコン等で扱えるデジタル文字・デジタルファイルに自動変換するソフトウェアです。
紙書類とは、伝票,申込書,発注書,請求書,領収書,契約書,決算書,FAX,議事録,メモ など日々の業務に数多く存在しています。
OCR自体は古くからあり、コピー/FAX/スキャナー複合機から家庭用プリンタといった機器に機能として備わっているもの、パソコンでPDFファイルや画像の内容をデジタル文字変換するOCRソフトウェアまで幅広く存在します。
DX化やデジタル化の流れの中で、OCRの役割がより重要になっています。
DXの重要なテーマの1つにペーパレス化があり、これは紙書類をデジタルファイルもしくはシステム上のデジタルデータに置き換えてデジタルで扱えるようにしましょう、ということです。
紙であることで実は財務面・運用面・業務効率面の重しとなっている現状があります。
・用紙,プリンタ/トナー,コピー/FAXなどの機材が必要
・運用においては、封筒,郵送や保管場所が必要
・スタッフ(人間)の関与が必要
・国税帳票や決算書、顧客情報などはそれらの管理にルール化とそれらに伴う運用が必要
・持ち出しやコピーなど不正を見抜きにくい
また、オフィスに紙書類がある理由でテレワークが進められない、など他のDX化のテーマの重しにもなっています。
ペーパレス化は”紙をデジタル化”という他のテーマに比べ理解しやすいこと、日常の身の回りにあり業務上の位置付けを理解していること、などからデジタル化やDX化推進の一歩目のテーマとしての設定が多いようです。
また、紙書類のペーパレス化は定性・定量効果も計りやすいです。
OCRは”紙をデジタル化”する入口として優れたツールですので、ペーパレス化の仕組み・テクノロジーとしてOCRがフォーカスされているわけです。
そもそも紙書類はなぜ発生するのでしょうか。
①BtoB,BtoC,GtoB間取引において発生するもの
②社内人事,経理,購買といった社内業務にて発生するもの
③経営関連や決算に関するレポート
④納税や監査に関するレポート
などを、関係ステークホルダー間での取引内容の記録や合意のエビデンス、行政や株主への重要情報の提示・開示の目的のもと、当たり前の手段として長く紙書類が使われてきました。
ペーパレス化の推進を阻む要因として取引先等の外部ステークホルダーと法律の存在があります。一方的に紙書類をデジタル化できませんし、法律に従わないわけにもいきません。また、ペーパレス化にOCR他のソリューションを導入する場合にはその事前検証も必要です。
ですので、ペーパレス化推進シナリオは、大抵の場合、現実的かつ段階的に取り組むことになります。
OCRによる紙書類のデジタル化さらには紙書類業務の自動化が実現できれば、デジタル化やDX化の進みを実感できると思います。
しかし、2022年現在、現実的にはスタッフが補完しなければならない前提でのOCRソリューションの導入になります。これはOCRソリューション毎に異なるのですがどれもまだ完全に紙書類の文字認識の認識精度が完全でないことによります。
特に手書きは要注意です。(日進月歩で向上し続けていますがまだしばらく時間がかかりそうです)
・文字認識率、単語認識率
・手書き認識率、手書きはみ出し認識率
・口語、方言認識率
・外国語認識率
例えば、ある種類の紙書類に関しOCRでペーパレス化と業務自動化をしてみたが実は2%が認識ミス…
これではスタッフがミスを見つけ補完する業務を置かざるを得ません。
ちなみに多くのOCRソリューションではその補完機能を逆に強みとしてしているものが多いです。
そういったOCRソリューションの現状に対し、AIによる高度な対策機能を備えたものがあります。
AI-OCRソリューションと呼ばれており、前述のスタッフ補完業務の解決・軽減や変換後のアシストなどに学習機能(AI)を利用しています。まだ完全ではありませんが実用レベルにきているソリューションもあります。人の教育と同じで1度教えたことを後に正確かつ自動で行ってくれるとしたら充分ありがたいですし、早くAI-OCRソリューションがそうなること期待しています。
・認識ミスの補完の学習機能
・校正機能やチェック機能とその補完の学習機能
・画像からの文字認識パターンの学習機能 など
★OCR導入の前提
現時点のOCR導入時にはその前提を認識することが大事です。
・幾つかのソリューションを試す(前述の認識率、認識ミス補完機能と運用イメージ)
・AI-OCRを含むOCRによる業務ペーパレス化・業務自動化には一定割合の補完が必要である
もちろん導入後の業務の費用対効果(時間短縮、正確性向上、スタッフ労力削減等)の判断も必要です。ただ、現時点のOCRソリューションでも、かなりの効果は見込めることは確かです。認識率や補完業務の課題もそう遠くない日に解決に近づくものと考えます。
紙書類を扱う業務は多岐にわたり、かつ、量も多いため、OCRソリューションを導入して一旦現状のデジタル化や業務自動化、ペーパレス化を進めることは私は正しい判断と考えています。
K.Tsuboura
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